ROUND247 NAKANO⑨・・たった一人の孤独な戦いの始まりだ・・
・・そうすると・・俺には気になる私立大学が1校だけあった・・確か高校1年のときに母親からこんな大学があるけどどう?と言われた大学だ・・俺は「そんな、偏差値が低い大学いけるか!金ねーんだから国立行くしかねーだろ!」と不機嫌に返した記憶がある・・そして母親からは二度とそのことを言われることはなかった・・
・・まずは調べてみるか・・俺はそんなふうに考えた・・
・・
・・秋も深まったある日、俺は坂田さんと昼、食事に出かけた・・俺が声をかけたんだ・・坂田さんは忙しそうにしていて、近くの蕎麦屋でいいかといい、二人で蕎麦屋に入った・・
「・・坂田さん、俺・・ここの仕事を辞めることにしました・・この前、坂田さんに言われた、万年くんは大学出てないからという言葉が引っかかって・・大学出てれば坂田さんたちみたいに、自分でも少しは自信を持って社会人として働けるのかなって思ったんです・・」
「もう11月だぞ、いくらなんでも間に合わないんじゃないか?」
「・・はい、そうかもしれません・・時間も金もないですが、ここをやらないと形的には来年3浪になってしまいます・・失敗したら夜間や通信教育も考えます・・」
・・実際俺はだいぶ価値観が変わっていた・・中野にきてから、東大から私立大学をはじめ、夜間や通教で学ぶ人たちとも知り合った・・専門学校出て、社会人として毎日真剣に生きている人も知った・・今の状況を変えたくてもなかなか踏み出せず悶々としている人も・・
「・・そうか、それでいつ辞めるんだい?・・」
「・・はい、受験の費用は確保しておいて、最低限生活できるような、もう少し割りのいいバイトに変えたいと思います・・今月末で・・」
「わかった、せっかく知り合えたのに残念だけど目標持ってこれから頑張るんだよな・・応援するよ、万年くん!」
「・・ありがとうございます、誰にも言わずに辞めようと思いましたが、どうしても坂田さんだけには伝えたかったんです」・・
・・その後、郵便作業室やラグビーの仲間がささやかな宴を設けてくれた・・その気持ちが嬉しかった・・今思い出してもあたたかな気持ちが甦ってくる・・
・・
・・そう、俺はもう一度大学受験を決意した・・坂田さんには話をしたが、中野の先輩や中野に来てから知り合った人たちには何も話さなかった・・
・・俺一人だけが知る孤独な戦いの始まりだ・・
(つづく)
朝から万ヒラ亭!
豚肉の煮物!
ノンフライ唐揚げとシャケ!
豆腐ハンバーグ!
油淋鶏風炒め物!
さあ、出雲駅伝だ!😼
★万ヒラ人生シリーズ
🔸新作 NAKANO
①・・いかにも俺は逃げる、それが理由さ・・
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②・・青は散ったんだ・・
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③・・何も見えなくなった街で・・
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④・・生きることからやりなおしだ・・
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⑤・・始まった新たな生活・・
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⑥・・さすらいのフリーター・・
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⑦・・居場所を感じて・・
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⑧・・何気ない言葉で・・
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万年ヒラリー社労士受験生日記
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