万年ヒラリー Reboot 〜闘争の記録〜

社労士開業を目指し、ひたむきに毎日を精一杯生きる平凡な一人の男の物語!

ROUND272 NAKANO14 ・・覚悟の帰省・・


・・次の日、10円玉を用意すると、俺は近所の電話ボックスから実家に電話をかけた・・


・・母親がでた・・


「・・ヒラリーです・・今日は報告があって電話した・・実は昨日、A大学の法学部に合格したんだよ・・それで相談がある・・」


「・・そう、よかったじゃないの・・相談だって?」


「入学金を貸してほしい、どうしても大学に行きたいんだ・・」


「・・すぐに返事はできない・・お父さんと相談する・・また明日電話ちょうだい・・」


・・次の日電話すると、一度帰ってこいとのことだった・・


・・俺は実家のある駅で降りた・・10ヵ月ぶり位だったが、もう何年も来ていないような気がしていた・・駅からは実家まで歩きで30分ほどかかるが、まぁ急ぐこともないので、歩きながら以前は毎日通ったこの道を

懐かしもうと思った・・その前に腹ごしらえだ・・盛りのいい大好きなラーメン屋に入り、ニラレバ定食を平らげた・・相変わらず絶品だった・・



・・実家に戻るとおふくろだけが家にいた・・親父はタクシーの運転手をしている・・まだ仕事から帰ってきていないようだ・・おふくろに食事はどうなのと聞かれ、途中で食ってきたと答えた・・それからあまり話す事はなかった・・


・・親父が帰ってきて、まぁ一杯やるかと言われたので、そうだねと答えた・・風呂から上がってきた親父とグラスを合わせると、親父はバスタオルで頭を拭きながら封筒を出してきた・・


「ばあちゃんから金を借りてきた・・返すのはいつでもいいと言っていた・・だから、社会に出たら少しずつでもいいから返してくれればいい・・ばあちゃんも少しだけうれしそうだった・・俺もうちから大学に行くやつがでるなんて嬉しいよ」


「・・ありがとうございます・・金は働くようになったらきちんと返します・・振り込みまで期限が短いんで、俺は東京戻るよ・・」


・・


・・大学には何とか入学金を支払った・・次の問題は、家に収入は多くないから無利子の奨学金を受けられると思うのだが、奨学金を授業料に充てるとして、決定が降りるまでの授業料をどうするかだった・・


・・俺はその日ある決意を持ってバイト先に向かった・・何としても奨学金が入ってくるまでの間の金を工面しなければならなったんだ・・


(つづく)

※サムネは晩酌万ヒラ亭


★万ヒラ人生シリーズ


🔸 NAKANO リマインド


①・・いかにも俺は逃げる、それが理由さ・

https://manhira.muragon.com/entry/202.html

②・・青は散ったんだ・・

https://manhira.muragon.com/entry/208.html

③・・何も見えなくなった街で・・

https://manhira.muragon.com/entry/211.html

④・・生きることからやりなおしだ・・

https://manhira.muragon.com/entry/217.html

⑤・・始まった新たな生活・・

https://manhira.muragon.com/entry/224.html

⑥・・さすらいのフリーター・・

https://manhira.muragon.com/entry/229.html

⑦・・居場所を感じて・・

https://manhira.muragon.com/entry/236.html

⑧・・何気ない言葉で・・

https://manhira.muragon.com/entry/244.html

⑨・・たった一人の孤独な戦いの始まりだ・・

https://manhira.muragon.com/entry/249.html

⑩・・恥を忍んで・・

https://manhira.muragon.com/entry/255.html

11・・受験前日の闘争・・

https://manhira.muragon.com/entry/258.html

12・・3年目の大学受験終了・・そして・・

https://manhira.muragon.com/entry/264.html

13・・俺はやっぱり大学に行けないのか・・

https://manhira.muragon.com/entry/266.html

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