万年ヒラリー Reboot 〜闘争の記録〜

社労士開業を目指し、ひたむきに毎日を精一杯生きる平凡な一人の男の物語!

ROUND61 Mさんへ(12)〜慟哭〜

・・


「・・最期に故人のために、ある詩人の詩を捧げたいと思います・・ 

《人も、この一生(ひとよ)に、ただ一つの花を咲かせるために生まれてきた。

 自分にしかできない自分の使命(つとめ)を開花させるために。何かあるはず。自分にできる何かがあるはず。

 自分にできることを、すべてした人。その人が「花」だ。

 だから、あなたよ、花と咲け。二度とない人生。だれに遠慮がいるものか。花と咲け。

 花よ咲け。心に咲け。暮らしに咲け。大きく咲け。

 心の花こそが、この世の旅路のその果てまでも、あなたを飾る明かりとなる》・・」


・・



・・いよいよ最後の別れとなった・・俺はこれだけは御棺に一緒に入れてあげたいと思い用意してきたものを彼の装束の上に被せてあげたんだ・・そして花を添え、もう一度Mさんの顔を見た・・Mさん、俺結局なにもしてあげられなかったね・・でも俺、Mさんに良くなってほしくて、誠実に、本気で接してきたんだ・・


・・棺が閉じられいよいよ最期の別れの時がきた・・すると先ほど読経し、話をした方から声をかけられた・・


「・・あれは故人に何をかけてあげられたのですか・・」


「・・はい、彼は大のジャイアンツファンで生前は一緒に野球観戦に行ったんです・・だからこれからはせめて好きなチームを好きなだけ応援してほしいと思って彼にユニホームを着せたんです・・」


「・・それは故人は最高に喜んでくれていると思います・・あなたの想いは故人にきっと・・いや絶対に届いていますよ!・・」


・・


・・それを聞いた俺は、今まで実感が湧かずに戸惑っていたような気持ちでいたが、それが嘘のように人目も憚らず泣いた・・堰を切ったように、恥ずかしくなるくらい号泣した・・俺につられたのか向こうではお姉さんも声をあげて泣いていた・・それは隣接する火葬場に移動するまで続いた・・


・・Mさんが荼毘にふされている間、俺は立ち上る煙を見上げながら悄然と煙草を吹かした・・


こうしてMさんは霊山に旅だったんだ・・


(つづく)


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