ROUND295 NAKANO17・・夢だったキャンパス🏫とそれどころじゃない生活・・《上京編終了〜大学編スタート》

2023/11/18 04:55

・・入学前、ギリギリまで仕事に入っていたことで、生活面ではなんとかなりそうな感じだった・・本当なら入学前はウキウキ気分なのかもしれないが、俺はスレスレの日常にすでに疲弊していた・・陽が当たらない部屋がもうすでにいやになりかけていた・・窓はあるが窓から数センチのところに隣りのアパートがあり、開放できない・・どこかで爆音のステレオが響き、隣からはずっと咳き込むような音がする・・

・・ダメだ・・そもそもここは人間らしい生活ができるようなところじゃないんじゃないか・・

・・贅沢などできるわけないが、それにしてもあまりにもひどすぎる住環境だった・・

・・

・・そんな中、大学の入学式はやってきた・・電車とバスを乗り継ぎ、俺は普段仕事で着ているヨレヨレのスーツで入学式に参加した・・皆にこやかな顔をして、親と一緒にキャンパスを歩いている・・俺からは皆がキラキラ輝いているように見えた・・俺は当然一人きりだ・・それでも新しい何かが始まることは俺の心を弾ませた・・

・・第二外国語の選択でクラス分けがされ、とりあえず俺は法学部の6クラスということになった・・この大学は附属の高校もあるため、そのまま上がってくる学生は多く、現役が多かった・・浪人のほうが圧倒的に少ない・・

・・ただ不安も抱えていた・・

・・引越しと月払いの学費で次の給料まで金がなかった・・中野から学校まで遠いので定期も何とかしなければならないがままならなかった・・オリエンテーションが終わると何故か大学なのに宿泊イベントもあった・・

・・できる限りのことをしなければならないと思ったのが結局は良かったのか、宿泊イベントへは何とか参加できた・・そしてそれが俺の運命を大きく変える二人の親友、ＹとTとの出会いの場となるのだが、そのときはもちろん知るよしはなかった・・

・・オリエンテーションの期間中、俺はずっと一人だった・・そして用事が済むとすぐに仕事に向かった・・だけど、それでも俺は少し浮かれていた・・

・・あきらめていた大学のキャンパスを歩いている・・都会ではない緑あふれる場所だったが、学内の池には鳥たちが集まり、水辺には学生たちの明るい声が心地よく響く・・木々に囲まれたその場所には優しく陽光が降りそそいでいた・・俺はタバコを吹かしながらそんな光景を見つめていた・・あの地獄のような日々を考えれば幸せだった・・仕事とかはキツイけれど、ここは俺にとって夢の場所だ・・

・・だけど・・何とか4年で卒業して就職を決めるんだ、二浪もしてるんだから・・

・・俺はどんなに苦しくても、何が何でも4年で卒業したいと心の底から思った・・そして普通でもいい坂田さんたちのようにきちんとした社会人として働くんだ・・